素敵な食卓をつくる人の、テーブル周りを見せていただく連載をはじめます。
振り返ってみたら5年の付き合いになる今井真希さん。
川崎市の武蔵新城でチーズ屋mikotoを営んでいた彼女は、この10月に北海道へ居を移されました。
引っ越しのすこし前、彼女たちと食事をしたので、
おもてなしの食卓やうつわ使いについて書かせてもらうことにしました。
(武蔵新城にあったお店がオープンしたときの写真。いつもアンティークの棚においしいものが詰まっていました。)
いつも優しい笑顔と柔らかな空気感、でもパワフルな行動力もあって男前な真希さん。
自分の”好き”を大切に、ずんずんと道を切り開いていっています。
彼女と過ごして流れる時間は、カラっとしていて優しく、帰る頃には気持ちが柔らかくなります。知人のお宅に招いてもらうということは、すこし緊張することでもありますが、不思議なことに今井家にお邪魔する時は、ふわりとリラックスして過ごしています。
これは彼らにとって、気の置けない仲間との集まりが日常で、肩の力が入っていないからだろうなと思います。
食事とおしゃべりを楽しみながら、ゲストと家で楽しむのが上手な今井家のメニューや器をこっそり観察させてもらいました。
[集まりの日の献立]
この日は、北海道に住む友人から届いたジビエの鹿肉を焼く会。
夫の亮輔さんがここ1年ほど特訓中のパンたちも一緒です。
今回は上手くいったかな、と言いながらバゲットとドライいちじく入りのカンパーニュをたっぷり切ってくれました。
(パンの酵母にはフルーツを使っているそう。北海道のフルーツでつくるパンが楽しみです…!)
その他の前菜やサラダは真希さんの定番メニュー。
ハレのメニューがありつつも、自分が手慣れた料理も献立に入っていて、バランスをとるのがほんとうに上手だなあと。誰かが家に来てくれると思うと、つい張り切りたくなってしまいますが、一歩引いてメリハリのある献立にしておくことは気楽なホームパーティーの秘訣じゃないかと思います。
彼女の定番メニューは、チーズと野菜を合わせた料理。
この日もハードチーズを削りかけた柿と春菊のサラダと、しいたけにフロマージュブランを合わせた一皿を作ってくれました。
(チーズというとパンチの効いた味わいを想像しますが、真希さんのチーズ料理はぱくぱく食べられる優しい味です。)
お店で日常に食べるチーズをずっと提案してきた、真希さんらしいひと皿。
「大容量のフロマージュブランはいかに使い切るか、今日はしいたけと鶏胸肉を合わせたけど、結構いいね」と笑って答えてくれました。
真希さんがお店で伝えてくれるチーズの提案はとてもリアル。
日常のこんな小さな実験の繰り返しから、おいしい提案が生まれているんだろうなと、ワクワクします。
(今年の春に販売されていた、おやつとチーズのセット。スコーンとチーズ、甘じょっぱくて最高でした。)
[集まりの日のうつわ選び]
テーブルに並んだ器は、ボウルと大皿、ブレッドカッターボード、あとは取り皿たち。
料理を盛り付けたボウルは深さがしっかりあるもの。改めて考えてみると、ある程度深さがある器は料理をすくいやすく、大勢で食事をする日にぴったりです。
とりわけのカトラリーには箸が用意されていました。箸を使うことできれいに取り分けられる料理なら、サーバーではなく箸を添えたっていいよなあ…と目から鱗が落ちました。
ゲストが気楽に料理に手を伸ばせるかどうかは、取分けやすさがポイント。テーブル周りもそういった視点で選ぶといいのかもしれません。
取り皿は、ひらいた手のひらより少し大きめサイズ。つい取分け皿=小皿と考えてしまいますが、少し大きめなものを用意しておけば、お皿の交換をせずに済みます。洗い物が多くなることを防げるし、カジュアルな集まりなら、これで十分。
わたしもさっそく、気負わず使える大きめな取り皿を購入してみたら、人が来るときにすごく便利。
すでになくてはならない存在です。
すこし長くなってきたので、真希さんの愛用品は後半でお届けします。
後半は、モノとの付き合いが上手な真希さんの、うつわの楽しみ方をご紹介します。
fromage&food 今井真希さん
川崎市武蔵新城で営んでいたチーズ屋mikotoを21年9月に閉店。
北海道の洞爺湖そばの街 壮瞥(そうべつ)町に移り住み、
新しい店舗 ヨツカド商店を準備中。
Comments